相手の話したことの倍の量の情報を返す
話が樂しくなり、盛り上がり、たくさんの興味深い情報が得られ、相手は自分に好意を持ち、自分と話したことを喜んで別れる。いつでも、誰が相手でも、そうできたらすごいと思いませんか?
結果はすごいのに、やることは極めて簡単な技、すなわち極意があります。相手の話したことの倍の量の情報を返す。ただこれだけです。これを極意塾では「倍返し理論」と称しています。
「嬉しかったです。天にも昇る氣持ちってこういうものかと思いました」などと情報を増やして答える。「嬉しかったですか?」と声かけられれば、「嬉しかったです」とだけ答えるのではなく、「嬉しかったです。天にも昇る氣持ちってこういうものか
相手の問いかけに、情報を付け加えて答える
「出身は東京ですか?」と声かけられれば、「そうです」とか「はい、東京です」とだけ答えるのではなく、「東京ですが、奥多摩の山の中、武蔵五日市です」などと情報を増やして答える。
「嬉しかったですか?」と声かけられれば、「嬉しかったです」とだけ答えるのではなく、「嬉しかったです。天にも昇る氣持ちってこういうものかと思いました」などと情報を増やして答える。
「稀勢の里、調子よさそうですね」と声かけられれば、「調子いいみたいですね」だけではなく、「絶好調のようですね。先場所の膝のケガも影響ないみたいですね」などと情報を付け加えて答える。
返す情報は二倍程度がちょうどいい
この場合、返す情報があまりにも多すぎると、一方的にこちらだけが話すようになってしまうので、ほぼ二倍程度、相手が一言ならばこちらは二言、という感じがちょうどいいですね。
そして、相手の言った事を否定せず、一旦受け入れて、それに情報を追加するのが会話を弾ませるコツです。
「暑いですね」に対し、「そんなことありませんよ。気温は20度もないんですから」と言いたいところでも、「いや~、アッツイですねえ~」と先ず感情面で倍返しして、「でも気温は20度もないんですねえ、驚きましたねえ」と情報を付加して返すと、同じ情報のやりとりでも、相手は断然氣分がよくなり、こちらに好感を持つようになります。
テレビのコメンテーターもほぼ全員取り入れている
これは、テレビのコメンテーターがほぼ全員取り入れている基本の技のようです。特にスポーツ解説では、アナウンサーがシンプルに問いかけ、それに対して倍の情報を返す、というやりとりが続きます。
これはそのように訓練されているように思われます。問いかけに対して、相手がそれに何らかの情報を付け加えて反応してくれると、次の言葉がスムーズに出てくるようになります。
それが重なると、会話がとても心地よいものになります。いつもいつも、有用な情報を付加して答えるというのは難しいでしょう。
相手の言った言葉を連呼するだけでも効果あり
そういう場合は、相手の言った言葉を連呼するだけでも効果があります。例えば、「暑いですねえ」「いやあ暑い! あっついですねえ」とキーワードの「暑い」を連呼してオーバーに言うだけでも先ずはOKです。
「嬉しかったですか?」「嬉しかったです。‥‥本当に、嬉しかったです」「元氣?」「元氣、元氣!」これだけでも、次の話にスムーズに移れるようになりますね。
実に簡単な技です。しかし、これも相手の話をちゃんと聴いていなければ出来ません。まずは相手の話をよく聴かないことには、コミュニケーションをよくする技は出て来ません。
No.052
文:極意塾塾頭 野中由彦