あがりの苦しみからの解放
人前で話すときのあがり対策ですが、司会者にはあがったり緊張したりする権利はありませんよ、という話です。
人前で話をする時に緊張する、あがる、というのは大変苦しいことですね。
その苦しみが一挙に軽くなったことがありました。
それは、古舘伊知郎さんの体験談でした。
古館伊知郎さんの体験
古舘さんがアナウンサーとして駆け出しの頃、どなたかに「いやぁ、どうにも緊張しちゃうんです」と言ったところ、その方が言うには、
「バカやろう、お前は司会者だろ。
司会者は主役ではなく、主役を引き立たせる役目じゃないか。
主役でもない、たかが司会者のくせに、何が「緊張しちゃう」だ!
司会者にあがったり緊張したりする権利は無い!」
こう言われて、それから主役を引き立てる役目に徹するようになり、司会の仕事がとても楽になった、いい仕事が来るようになった、ということでした。
それからの古舘さんの活躍は、プロレス中継はじめ、多くの方がご存知のとおりです。
司会者ならばたいして緊張しないのはなぜ?
この話を何かで聞いたか読んだかして、深く感じるところがありました。
そう言えば、私は結婚披露宴の司会などもよく頼まれてやっておりましたが、司会者の時は、さほど緊張することはありませんでした。
「司会者なんて、主役を引き立てるだけのこと。
その司会者が緊張したりあがったりしてたのでは話にならない。
そもそも多くの人の注目を浴びると思うから緊張する、あがる。
主役は誰なんだ! 司会者に緊張したりあがったりする権利は無い!
誰もお前なんか氣にとめてないから、淡々と司会進行を努めればいいのだ!」
主役でもないのにあがってどうする!?
このように思えてから、俄然楽になりました。
それと同時に、我を消して、その場の、とくに主役とお客さんを思うことに集中しますから、司会者としてのパフォーマンスはぐっと良くなったと思います。
主役は誰か? 主役でもないなら、あがる権利が無い! 緊張する権利が無い! ‥‥素敵な発想です。
No.169
(極意塾塾頭 野中由彦)