人前で話す時あがらない極意:前あがり理論(2) No.171

仕事
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ある落語家の仕草

人前で話す仕事をしている人は、あがり対策はどうしているのでしょう?

数年前のある日、私は浅草演芸ホールの最前列におりました。

そこからは、出番を待つ噺家の姿が少し見えることがありました。

ある噺家が、登壇前に、手に何か文字のようなものを書いてそれを舌で舐める仕草を繰り返していました。

人という字を書いてそれを飲み込む、子どもの頃からよく聞いた御呪い(おまじない)だったのでしょう。

客は飲まれる存在なの?

それを見たとき、少し違和感がありました。

プロの噺家でもこういうことをするのか!というちょっとした驚きと、「俺たち客はあんたに飲まれる存在なのかい!?」という思いが生じました。

その噺家は、そこで初めて名前を知った人でしたが、客をいびるギャグを得意としていて、なんとも横柄な感じがして「駄目だこりゃ」と思ったものです。

どういうポーズならよいのか?

それがとても印象に残り、「ではどういうポーズだったら感激し納得し、尊敬するか?」と考えました。

例えば、「お客様に会えて嬉しい、口座に上がれて嬉しい、こういう場を作ってくれた全ての人に感謝したい」という氣持ちを込めた合掌でもされたら、どうだったろう?‥‥

そう思った以上、実験してみないと収まりません。

大勢の皆さんの前で話をする時、真剣に感謝の合掌をしてから登壇してみました。

感謝の合掌をして登壇すると

すると、いつもより明らかに落ち着いている自分、皆さんを生まれ変わった自分のように親しみを持って見ている自分、会場設営や清掃などをしてくれた方々に感謝している自分がいることに氣が付きました。

その時は、殊の外、楽しく落ち着いて語ることができました。

あがるとか緊張するとかから離れた心地よい時間でした。

これも極意だなと思った次第です。

No.171

(極意塾塾頭 野中由彦)