人間の幸福というものは‥
「人間の幸福というものは、稀にしか起こらない幸運よりは毎日起こる小さな便利さから生じるものなのだ」(『フランクリン自伝』から)。
ベンジャミン・フランクリンの『フランクリン自伝』を読み始めたのは、17歳になる頃でした。
それが面白くて面白くて、最たる愛読書の一つになったばかりか、卒業論文『自己教育について』でも取り上げ、修士論文ではずばり『ベンジャミン・フランクリンの教育思想』がタイトルでした(笑)。
わたくしのメンターの一人と仰いでおります。
健康・成功・幸福を決めている本当の要因
フランクリンは、若者が幸運で大金を得ても浪費した後悔しか残らないけれど、その若者にヒゲ剃りのナイフを与え、ヒゲの剃り方を教えれば、ずっと毎日氣持ちよく暮らせるからそのほうが良いという例を挙げています。
わたしは何故かこの話が心に残り、その後ずっとそれが本当かどうか、周りの人達の暮らしぶりを見ながら確かめていました。
その結果は、フランクリンの言うとおりだなぁというものでした。
大金を手にし、大邸宅に引っ越し、絶世の美女を娶っても、人間は何にでもすぐ適応してしまう、すなわちそれがいつものことになれば飽きてしまい、外見はともかく、その後揺るがない幸福の要因にはならなくなってしまうようです。
稀にしか起こらない幸運を求める方々はたくさんいらっしゃいますし、その類の本も溢れています。
わたくしは反対方向、すなわち、「毎日起こる小さな便利さ」のほうの研究・実験に邁進していこうと思っております。
それこそが健康・成功・幸福の本当の要因だと思われますので。
富に至る道vs樂に至る道
フランクリンは、暦に書き付けた警句や諺などを体系化して『富に至る道』という小論を書いています。
極意塾がこれを真似るとすれば、『樂に至る道』というタイトルになりますでしょうか。
もっと樂しい生活を、もっと樂に達成してしまいましょうというのが極意塾のコンセプトです。
ただ今、その構想を練っております(笑)。
No.232
(極意塾塾頭 野中由彦)