ベンジャミン・フランクリンの薫陶
私は、ベンジャミン・フランクリン Benjamin Franklin にたいへん大きな影響を受けています。
高校生のどん底時代に『フランクリン自伝』を知り、あまりに面白く、そこからさまざまな智恵やアイデアをゲットしました。
その延長で、修士論文の題は『ベンジャミン・フランクリンの教育思想』でした。(笑)。

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自己教育の典型事例
なぜそこまでフランクリンに魅せられたかというと、ずばり、自分で自分を教育し、より良い人生を切り開いていくことに成功しているストーリーだからです。
とくにこの「自分で自分を教育する」という点に、汲めども汲めども尽きない興味を覚えました。
これこそ、生まれ育ちに関係無しに、自力でうまく生きていく、本当の自立の姿だと思えました。
境遇を自ら作る生き方ですね。

十三徳目の修得
注目されるのは、有名な『フランクリンの十三徳目』の樹立と実践でしょう。
これは簡単に言うと、フランクリンは、日常の自分を省みて、今のままではつまらない人生で終わると氣付き、「その当時、自分にとって必要であり、また望ましくもあるように思われたすべての徳目を、十三の名称のもとに含ませてしまい、その一つ一つに短い戒律をつけた」というものです。
十三の徳目を書いた手帳を肌身離さず持ち歩き、一週間にひとつの徳目に集中してそれを修めるように努力し、具体的にチェックする。十三週間でひとつのサイクル、それを繰り返す、という方法です。
これは、世界中に、非常に広く、非常に多くの人に、非常に大きな影響を与えたと言っていいでしょう。
今日の課題を決めて数限りなくやる
フランクリンは、「わたしの意図はこれら諸徳目をことごとく習慣として身につけたいというところにあったから、こりゃあ、同時に全部をやろうと試みてかえって注意力を分散させてしまうようなことをせずに、ある一つの期間にはどれか一つの徳目にのみ注意を集中し、そいつを修得したときになってはじめて他の徳目に移る、というふうにしたほうがよいぞ、そして、そのようなやり方をつづけていけば最後には十三の徳目ぜんぶが身につくことになるぞ、との判断を立てた」と書いています。
ここに生活改善の技、すなわち、極意が見えます(笑)。
注意を集中するのをひとつに限定するという、およそ誰でも、すぐに簡単にできる技です。
課題の中から「今日はこれ」と決めて、ひたすらトレーニングするというわけです。
これは、スポーツ、芸能、学習、その他、多方面に応用できますし、現に成功者の成功の要因を聴くと、この方法をそれこそ数限りなく反復実践したと語る方が多いですね。

No.243
(極意塾塾頭 野中由彦)