わたくしは、どこかに姉願望を宿し続けていたように思います。
およそどんなことでも氣軽に相談できる尊敬できる姉、または姉のような存在がいたら、実際に通ってきた人生より、圧倒的に生きやすい人生になっていたに違いないと分析しています。
中学3年の夏休みに、何人かで行く計画だった山登りが、結局わたくしひとりで行くことになってしまったことがありました。
頂上で休んでいると、二人連れの年上の女性が登って来ました。
山頂の開放感もあってか、どちらからともなく話をしました。
リーダー格の方は、東農大の学生と言ってましたが、確か六つか七つ年上の人でした。
とても落ち着いた、優しい、おっとりした雰囲氣の女性でした。
帰りは、一緒の道を下りてきたのですが、その時のなんとも言えない幸福感を今もよく覚えています。
その方とはそれきりで、名前も存じ上げておりませんが、ずっと心に残り続けたのですから、余程に惹かれるものがあったのでしょう。
「生き直し」ゲームは、この方と交際するというメンタルムービーです(笑)。
交際と言っても、それこそ半年か1年に一度会って、年下のわたくしが、普段なら到底言えないようなことを思い切り語って、大人のアドバイスを受ける、というようなものです。
そういうことが出来ていたなら、精神的にかなり樂になったと思います。
また、女性の目から見ての具体的なアドバイスは、その後の異性との間でのさまざまな軋轢を未然に防ぐことにもなったでしょう。