半ば笑い話ですが、少年時代、わたくしは「おしゃれ」というものにまったく無関心でした。
無関心というより、服装を氣にすることに一種の罪悪感のようなものさえ抱いていました。
それというのも、片田舎の貧しい農家の四男であったわたくしは、着るものといえば全部兄の着古しでした。
それが嫌だったことはまったくありません。むしろ、かえって着心地が好かったのを覚えています。
中学、高校となれば、学校では学生服と体育着と決まっていましたから、おしゃれがどうのというのが入り込まなくて済みましたので、氣が樂でした(笑)。
そんな育ち方をしましたので、二十歳の頃の写真を見ると、それこそその辺にあった安物を暑さ寒さだけを基準に着込んでいるばかりで、おしゃれセンスはまったく無し……そういう若者でした(笑)。
東京に住むようになり、人から笑われたりして、さすがにこれではいけないと思い、少しはコーディネイトというようなことも考えるようにはなりました(笑)。
少年時代服装を構わないことで、損だったか得だったか微妙なものがありますが、今となっては、やはりここは「生き直し」したい項目です。
わたくしのことを通して言えば、服装のセンスやおしゃれというのは自然に身に付くものではありませんね。
見てくれにきちんと氣を使う……それも、他者とお付き合いするうえでは必要なマナーであり、エチケットでもあった! それを身に付けておく事前対策が必要だったと、年を重ねるほど身に染みるようになってきました(笑)。