どうすればスムーズに会話に進められる?
わたしの生業は、カウンセラーです。それも、コミュニケーションがとても苦手な方々をも相手としてカウンセリングをするカウンセラーです。
今は現場を離れて研究員なるものをしていますから、「カウンセラーでした」と過去形にすべきかも知れませんが(笑)。
コミュニケーションが苦手という人と、どうすればスムーズに会話に進められるか、どうすればもっと豊かに情報を交換できるか、カウンセリングのプロとしての意地もあって、真剣に研究してきたつもりです。
相手と目の高さを同じにして話す
近々、新人カウンセラーに対して、そういったカウンセリングの方法について研修する役目もいただいております。
そうした自分なりの長年の研究から得た、コミュニケーションをスムーズにする結論のひとつです。これは絶大な効果がありましたねえ(笑)。
コミュニケーションをスムーズにする極意:相手と目の高さを同じにする
相手と目の高さを同じにして話す。ただこれだけです。これを徹底するのです。相手がうつむいていて、とても低い位置に目があるなら、負けずにかがみ込んででも目の高さを合わせる。
常に目を相手と同じ高さにキープする
そうして話をしていると、徐々に相手は目線を上げてきます。そしたらこちらもそれに合わせて徐々に目の位置を高くしていく。常に目を相手と同じ高さにキープする。
これはどういうことか‥‥。人は目の高さにすごく敏感、かつ、デリケートです。「目上」「目下」とよく言いますが、地位の高い人は、目の位置も高くします。
この文化は、上下関係が厳しかった時代に徹底して染み込んだもののようです。時代劇なぞを見ると、殿様は必ず目の高さを下々の者より上に位置させています。
目の高さを同じにすることは、対等の関係をあらわす
上下関係は目の位置ですぐわかりますね。目の高さを同じにするということは、あなたとわたしは対等ですよ、という意志の表れです。
対等だから親和の感情が出やすくなります。友だちという感覚ですね。要するに、リラックスしやすく、話しやすくなるわけです。
そのような感覚が表れるまでには少し時間がかかります。体験的には、15分ぐらいすると何となくそういう感じがしはじめて、30分もすると、もうずっと前からの友だちだ、というような感覚になります。
相手と目の高さを合わせない、という技もあり
逆に、相手と目の高さを合わせない、という技もあります。喧嘩、戦い、という時には絶対に相手より目の位置を下にしないことですね。
上から見下す、すなわち、「上から目線」をずっとキープすると、相手は徐々に萎縮していくようにできています。反対に、相手を立てたいときは、徹底して相手より目の位置を低いところにキープする。
これは、女が男を落とす基本的テクニックのようで、飲み屋のママさんに限らず、女性は本能的にこういう技を身に付けているのかも知れませんね。
これをやられると、「うむ、できるな」と感じます。この技を日本で一番徹底的にされていらっしゃる方は、天皇皇后両陛下でしょう。
天皇皇后両陛下は腰を下げ、身を屈めて、話しかけられる
被災地を訪問された時などの映像では、そこまでも!というほどに腰を下げられ、身を屈められて、高齢者に話しかけたりされています。
それも自然にさりげなくされているのは、もう完全に身に付けておられる!、と極意塾的にはみます。
およそ誰でも、すぐに、簡単に、お金もかけずに、楽しく暮らす、幸福に生きることが出来るようにする、いたって簡単で、効果絶大な「技」=極意。
相手と目の高さを同じにする、たったそれだけでコミュニケーションはスムーズになり、親密な関係になりやすくなります。絶対のお勧め技です。
No,015
(極意塾塾頭 野中由彦)